先生志望と制作意欲の狭間にある道

先生志望と制作意欲の狭間にある道

君島英樹(KIMISHIMA Hideki)

図工・美術非常勤講師/画家

WEB:https://www.kimi-artwork.com/

プロフィール

1995年生まれ 神奈川県茅ヶ崎市出身

2015.04  東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻入学

2019.04  同大学院美術研究科油画専攻(壁画分野)入学。2022.03 同大学大学院 壁画第二研究室修士課程修士課程 修了

2021年2月に茨城県取手市にNULLNULL STUDIO(共同アトリエ)をオープンし、現在、取手市を拠点に、都内で多くの展示に参加中。

茨城県内の中等教育学校にて、非常勤講師として図工・美術を教えている。

どうして先生になったのでしょうか?

制作がしたくて修士に進んだ後、生きていくうえでお金どうすりゃいいんだろうと思って。でも朝から晩まで働くって無理だなと思って。非常勤の先生になりました。 

企画で知り合った人でもともと教員だった方がいて、「教員やりたいんすよ」、と話していたらだんだん本当になったんです。「やるならやるでしょ」と、県の教育委員会に書類を持って連れていかれました。「郵送で良かったんですけどね」とか言われましたけど。(笑)

働いているのは週3日ですね。全然制作できないな、とは思います。自分で全部準備しないといけないし、成績もつけないといけないし。よりよい美術室にしたいし。なかなか難しい。

でも、教員をやり始めて、興味のない児童、生徒たちにどう、美術をするうえで大事なことを伝えられるかな、というのを意識するようになりました。今は「観察をしよう」ということを伝えてます。どうものをみて表現するか考えさせるとか、早く終わらせてしまう子なんかはどんなところにこだわりがあるかなんか尋ねるようにしています。

美術の道に進もうと思ったのはなぜですか?

高校の美術の先生にお世話になって、僕もこうなりたいと思ったことで美術の先生を目指しました。

運よく東京藝大に受かって、、美術の先生を目指して、大学4年時に教育実習に行きました。でも、そこで先生の理想と現実を目にして、疑問を感じたところがあって。考えたら先生って、20代前半で卒業してなるんですよね。それでほんとに指導できるのかな…と。教えられるようになるように、社会をもっと知っておきたいと思いました。

ちょうど同じころ、作品制作もやりたくなってきて、大学院に進みました。

NULLNULL STUDIOを作ったのは自身にとってどんな経験でしたか?

中国留学を計画していたところ、感染症が流行してしまい、延期になってしまい、休学中どこで制作するかと思って、友人と共に、NULLNULL STUDIOという、スタジオ兼展示スペースを作る計画がうまれました。スタジオをつくったのはお互いにとって大きかったです。いつでも制作できる環境があるのは大きいと思います。

かなりの数、物件を内見に行きました。いい場所を見つけたけど持ち主が分からなくて法務局へ行ったりもしました。一から壁を立てるというのがいい経験になったと思います。

内装を自分たちで、施工してもいいと言ってくれる賃貸なんて、なかなかないですよね。借りたときは大家さんが直接管理している建物で、おばあちゃんがオーナーでほんとに感謝しています。残念ながらオーナーさんが代わり今は不動産が仲介するようになりました。今は、不動産屋が仲介してます。

自分たちで空間を作り直すっていうのはある種アーティストにとって必要なことだなと思いますね。作品づくりでの素材選びじゃないですけど、壁を立てる上でどういう素材が必要なのかとか、工具とか、ネジとか椅子とか… そういういままでずって適当にやってたものがやっと理解できたというか。

今後どうしていきたいですか?

まずは、コロナで行けなかった中国留学かな。学校を急にはやめられないけど。

去年1年、授業準備に時間を費やしてしまったので、制作する時間を確保したいですね。ストレスなく価値ある仕事にしないとなと思っています。何はともあれ楽しく仕事したいな(笑)

将来的には自分でななにか起こしたいな、と思ってます。展示しているかは分かんないですけど。40~50歳とかになったら、カフェ兼ギャラリーみたいな、自分の場所を持っていたいです。

優柔不断で締切り30分前まで悩んでいるタイプなんですけど、段々と知り合うジャンルや人が増え、相談できる相手やイメージが広がって、大人になったな、と思います。

NULLNULL STUDIO

君島英樹と諏訪部佐代子によるアーティストコレクティブであり、共同のスタジオ兼展示スペース。

ACCESS:茨城県取手市井野1-7-7サンハイツ取手101

     取手駅徒歩10分(ピンクのカーテンが目印)